
会社の倒産手続の相談を受けていると、感じることがあります。それは、
「キャッシュが底を突くまで粘ってはいけない」
言い換えるなら
「キャッシュがあるうちに事業に見切りをつけなくてはいけない」
ということです。
では、なぜギリギリまで粘ってはいけないのでしょうか・・・?
キャッシュが底を突いてしまうと、経営者の生活費もなくなります。
目の前の生活が成り立たなければ、冷静な判断もできません。
冷静な判断ができなくては、事態がよくなることはありません。
キャッシュがなくなると、従業員に給料を支払うことができなくなります。
働いてもらったのに給料を支払えないとしたら、従業員には非常に迷惑がかかります。
一般的には、給料が支払えるうちに事情を話して辞めてもらったほうが、従業員のためになります。
High Fieldグループには社会保険労務士も所属しており、会社破産後の従業員の生活に支障が出ないよう、最大限のサポートをさせていただきます。
後述しますが、キャッシュがないと破産もできません。
そうなると、破産もせず、支払もせず、延々と放置するしかなくなってしまいますが、債権者にとっては、実はこれが一番迷惑です。
債権者としても、どうせ回収できない債権なら、債務者に早く破産してもらって損金(貸倒)計上したほうが助かるのです。
裁判所に破産等を申し立てる際、数十万円の予納金が必要になります(裁判所は、予納金がない会社の自己破産を受け付けません。)。
また、弁護士・司法書士としても、時間を割いてお手伝いする以上は報酬をもらわなければなりません。
こうした理由から、キャッシュが全くない会社からご相談いただいても、ご依頼をお受けすることができないことがほとんどです。
ただし、キャッシュはなくとも、不動産や売掛金がある場合には、ご依頼をお受けすることができる場合があります。ご相談ください。
自分が、あるいは自分の先祖がせっかく築き上げた会社の全てが自己破産によって消滅してしまうことについて、大きな抵抗を感じることは当然です。
ギリギリまで何とか粘りたい気持ちも分かります。
しかし、これまでご説明したとおり、キャッシュが尽きてしまったら自己破産すらできません。
「破産すること」と「支払もせず、破産もしないでズルズルと時間が経つこと」では、明らかに後者のほうが関係者に迷惑をかけます。
お金が尽きて身動きができなくなる前に、言い換えるならある程度のお金があるうちに、早めに法律家にご相談ください。